個人的マンガベスト3 その1
こんにちは。齋藤です。
昨年一年間、本ブログを通じていろいろ書かせて頂きましたが、オーダーシャツのくだりなど、テイストがブレているのではという気もしているところでございます。
思い起こしてみますと、本ブログのもともとのコンセプトは、「弁護士の本棚」と標榜しつつ、これまで読んだ本(時代が変わっても変わらない普遍の文学や、私自身の考え方に大きな影響を与えた本など)のブックレビュー+そこに私の解釈を付け加えたものを書く、というものでした。
というわけで、これまでとは趣向を変えまして、2021年一発目は、マンガを取り上げたいと思います。
突然ですが、個人的マンガベスト3を発表させて頂きますと、
① ドラえもん
② 風の谷のナウシカ
③ 美味しんぼ or 北斗の拳
という感じです。
- ドラえもん
やはり、第一位は圧倒的にドラえもんです。
もはや説明不要の国民的コミックです。
メリハリの利いた絵、温かみのあるキャラクター造形、気持ちの良いコマ割り、教訓的なエピソード、キレのあるギャグ、毎回わずか数ページでまとめきるストーリー展開など、どこをとっても絶品というほかなく、昔コロコロコミックでの連載の際にアオリに書いてあった「日本一のギャグマンガ ドラえもん」うたい文句は伊達じゃないと言わざるを得ません。
世に名作マンガは数あれど、エロ・グロ・下ネタがほとんどなく、子供から大人までおよそ万人に薦めることのできるマンガは数えるほどしかなく、その意味でもドラえもんはピカイチではないかと思っております。
↑↑↑ドラえもんの数々のシーンの中で最も好きなコマを選べと言われるとこのコマかもしれません。
「やきいもは、食べるまえにおならをする。」
のび太ののんびり具合にイライラしたドラえもんが「クイック」という薬を出し、先に飲んでみせるわけですが、せっかちになりすぎ、焼き芋を食べるまえにおならをする、というギャグです。
ドラえもんが「ボム」とおならをする絵ヅラで既に面白く、私的にはドラえもんのギャグの中で最もツボです。
↑↑↑これは、ジャイアンが「コンピュータペンシル」という道具を使ってテストで100点をとったら父親に不正がバレて叱られる、というシーンです。
「できの悪いのは仕方がないとして、不正だけはするなと教えてきたはずだぞ!」
教訓的なセリフ、エピソードも多く、子どもたちには是非読んでもらいたいマンガの一つです。
美味しんぼと北斗の拳は私の中で甲乙付け難いため、併記してしまいました。
美味しんぼについては、やはり海原雄山と和解する前までを推したいです。
料理をボロカスに言ったり、いきり立って店を出たりと尖っていたころの山岡さんが懐かしいです。
↑↑↑「これでわかったかい、おまえのスシのまずいわけが。おごりたかぶった心で握れば、シャリもガチガチに固まってしまうんだッ!! 心のこもっていないスシは、ただのシャリとネタの固まりだ!! スシじゃねえ! おまえのスシがそれなんだよ!!」(1巻 第3話 寿司の心)
銀座で一番とされる有名店のオヤジの寿司をこき下ろすシーンです。
過分な評価にあぐらをかいてお客を大切にしない店には必ず一発かますのがかつての山岡さんの流儀でした。
↑↑↑吠える山岡さんその2です。
「こんな店では何も食べちゃいけない、うまいとか、まずいとかいう以前の問題だ!」
「マスコミに取り上げられたくらいでいい気になって、客を粗末にするような人間の作る物は、食べる価値がないっ!!」(2巻 第1話 手間の価値)
ここで山岡さんがキレたきっかけは、店が取り皿を出そうとしなかったからでした。山岡さんは女性と一緒だろうがお構いなしにキレています。
「ゴマソースの物もチリソースの物も同じ皿で取れっていうのかっ!!」というキレ方がコミカルで好きなのですが、まさにタイトル「手間の価値」を象徴するような導入部で、このあと別の店に入り、あの名言「この豚バラ煮込みは出来そこないだ、食べられないよ。」のくだりへと続いていきます。
私が勝手に考える、美味しんぼの基本的な信条は、
① 料理は心
② ブランド物を無批判に有難がらず、自分の感覚で判断しろ
というものです。
①につきましては、上に挙げた二つのエピソードしかり、もてなす相手のことを考え、それを突き詰めることの重要性が山岡さんや海原雄山の言葉で繰り返し語られます。
②につきましては、かの名言「フォワ・グラよりうまい鮟鱇の肝だッ。」や、(マグロやフグなどではなく)「今まで食べた中では、サバの刺身が一番うまかった・・・」、生ガキにシャブリは合わないとの論説など、世間で一般的に言われている価値観に挑戦する姿勢がたびたび示されています。
世間で当たり前とされているからと言って、それに盲目的に従うのではなく、自身の感覚(舌)で判断しなければならず、有名店だとか、希少な食材だとか言って有難がるのはただのブランド信仰に過ぎない、というわけです。
初期の頃のエピソードはどれも示唆に富んでおり、読み返すたびにハッとさせられます。
なお、余談ですが、美味しんぼは、キャラの服装の描写も注目すべきポイントです。
↑↑↑上のコマの谷村部長は、ヘリンボーンのスリーピースにボタンダウンシャツといういで立ちです。基本的に谷村部長はヘリンボーンのスリーピースなのですが、チェックのジャケットになったりと細かい書き込みがなされています。また、季節感を反映してキャラの装いがコロコロ変わります。
最後に、海原雄山のワンシーンです。
物語が進むにつれて人格者へと変貌を遂げた海原雄山ですが、オールドファンとしては、もう一度お椀を投げつけるところが見たいものです。
↑↑↑このシーンでは、吸い物がまずいということでキレています。
大原社主に招待してもらって赤坂の料亭に来ているのですが、奢ってもらっておいて吸い物がまずいと言って「だから私は食事に招ばれるのは嫌なんだッ」と怒っています。無茶苦茶です。
よくもまあ料理は心とか言ったもんだ・・・という感じなのですが、同時に雄山先生はこうでなくちゃ、というところでもあります。
風の谷のナウシカや北斗の拳についても取り上げる予定だったのですが、ドラえもんと美味しんぼだけで予定していた文字数をオーバーしてしまいました。
美味しんぼについて書きたいことはまだまだあるのですが、このあたりで一旦筆を置くことにいたします。
次回は、北斗の拳と風の谷のナウシカについて取り上げる予定です。
末筆になりましたが、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。