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2021-10-23

「成長」か「分配」か、2021総選挙に向けての考察

昨日10月22日、事務所からほど近いJR草津駅前に吉村大阪府知事が来訪し、日本維新の会の応援演説をしておりました。

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↑↑↑近くで聞こうにも人が多くて近づけず、5倍ズームで撮っています。

じかに聴いてみますとやはり声にパワーがあります。
また、弁舌は巧みで、よどみなく、わかりやすい言葉が印象的でした。
私も弁護士のはしくれとして、「どう話せば相手にうまく伝わるか」を日々考えるのが仕事ですから、政治家の演説を聴くと大変勉強になります。

余談ですが、政治信条や語っている内容はさておいて、演説のテクニックでは山本太郎氏の右に出る人はいないと個人的には思っています。

声のトーン、話のテンポ、身振り手振り、表情に至るまで計算しつくされた職人芸の域に達しているのではないでしょうか。

そうだ 選挙、行こう

前置きが長くなりましたが、衆議院議員総選挙が10月19日に公示されました。

10月31日(日)の投開票までたった14日間と、類を見ない短期決戦です。
こんな短い期間でどうやって小選挙区・比例の投票先を吟味しろというのか、とぼやきたくなりますが、そうは言っても我々はこのわずか2週間で、次の4年間、日本を誰に託すのかを決定し、投票しなければなりません。

というわけで、よりましな候補・政党を選ぶためのポイントについて考えようというのがこの記事のテーマです。

キーワードは「成長」と「分配」

さて、今回の選挙のキーワードはと言いますと、「成長」と「分配」のように思われます。

たとえば、自民党のWEBサイトでは、「『成長』に向けた『大胆な危機管理投資・成長投資』とともに、『分配』によって所得を増やし、『消費マインド』を改善します」とうたわれています。

ここで、「成長」と「分配」というのは、通常これらのワードが持つ意味よりもはるかに党派的な意味合いを持っています。

すなわち、「成長」を強調することは、従来「右」的な主張と親和性が高く、逆に「分配」を強調することは、「左」的な主張と親和性が高かったといえます。

極めて荒っぽく整理すると以下のようなイメージでしょうか。

「成長」を強調:企業の稼ぐ力を強化することで個人も豊かになる、というようなイメージ(小さな政府を志向しがち)。規制緩和、制度改革により企業がより稼ぎやすい土壌を作り、日本経済の浮揚を目指す。ある程度の所得格差は許容されるという考え。経済政策を重視。

「分配」を強調:格差は少ないほど良いという考えがベース。大企業や金持ちがさらに富むという資本主義の在り方を適宜修正すべき。大企業や金持ちに集中しがちな富を税という形で政府が集めて適正に国民に再分配するのが政府の役割(大きな政府を志向しがち)。福祉政策を重視。

要するに、
「成長」重視=企業や資本家の稼ぐ力をより強化する施策を重視
「分配」重視=企業や資本家が稼いだお金を市民に配ることを重視
というわけです(きわめて大雑把な整理で恐縮ですが)。

従って、まずは、この「成長」と「分配」のバランス・力点の置き方を見ていくことが、投票する候補・政党探しにおいて最もとっつきやすいポイントかと思われます。

かつての自民党は、「分配」よりも「成長」をより重視していました。小泉構造改革しかり、アベノミクスしかりです。
しかし、昨今の新型コロナ禍によって、ただでさえ良くはなかった景気がさらに悪化し、中・低所得層の暮らしを直撃しました。
新自由主義的な文脈から進められた小泉構造改革やアベノミクスにより所得格差がさらに開いたという認識のもと(もちろん、この認識が本当に正しいのか、という問題もありますが)「富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の格差」を縮小すべき、という発想から、上記の小泉・安倍路線から方向転換を図ろうというのが岸田総裁の考えで、以前の自民政権には見られなかった「分配」のワードを積極的に使うようになったというわけです。

他方で、「分配」はそもそも社民党や共産党の十八番でした。
そこに上記のようなコロナ禍での支援の必要性の文脈で自民までが「分配」を強調しだすことにより、もはや各党の選挙公約は似たり寄ったりのものとなり、違いと言ったら「分配」する現金の金額が異なるだけ、となってしまっています。
「バラマキ合戦」(矢野財務次官の文藝春秋への寄稿)の様相を呈しているとの批判は当然です。

しかし、我々は「分配」の多寡で投票する政党を決めてしまってよいのでしょうか。もらえる現金は多ければ多いほうがいいのでしょうか。

そもそも、現金を給付するというのは困窮する家計の救済施策の意味合いが大きいものです。
お金を配られなければならないのは真に困っている人だけで、そうでない人たちはただ貯蓄に回すのみです。
そうしますと、現金給付によって起こることは、困窮する世帯が生活必需品を購入することだけで、全体としてみれば、ただ政府から家計に資金が移動しただけ、ということになり、そこには何らの付加価値も生まれません。
貯蓄が増えれば財布のヒモが緩み、消費喚起になるというのは浅はかではないでしょうか。そもそもの不安の種のコロナ対策が心もとなければ安心して消費はできません。

なぜ貯蓄に回し、消費しないかというと、コロナにより先行きが見通せず、仕事が、将来が、日本経済が不安だからです。
一律に配ることができるお金があるのなら、そのお金の使い途を考えるのが政府の役割なのではないでしょうか。
例えばコロナ専門病院や、コロナ薬開発への補助金、また、再生エネルギーに財源を回してもよいでしょう。台湾有事に際しての尖閣の備えは大丈夫でしょうか。対北朝鮮は?いくらでも使い途はあります。

しかも、配るためのお金の財源はどこにあるのでしょう。
国債を発行して(借金をして)作った金を現金で国民に給付しても、将来にその借金を返すアテはあるのでしょうか。

確かに、国家は通貨発行権を有しているから、債務が膨らんでも通貨を発行して返済することができるため、基礎的財政収支(プライマリーバランス)をそこまで気にしなくてよく、じゃんじゃん国債を発行しても問題はないという議論もあります。

しかし、国家の浮沈をかけて同理論の成否を実証するというのはなんとも無軌道すぎるのではないでしょうか。

結局のところ、上記のような問題があるにもかかわらず、各党が現金給付を公約として掲げるのは、要するに有権者への「わかりやすさ」を狙ったものと言わざるを得ないのかもしれません。

迫りくるシルバー民主主義?

10月20日の日経新聞朝刊には、同社の世論調査で、成長戦略と分配政策のどちらを優先すべきかという問いに、18~39歳では「成長」が59%、「分配」が31%と成長が分配を大きく上回ったが、年齢が上がるほど「分配」支持が増え、60歳以上では逆転したとあります。
40年、50年先を見据えなければならない40歳未満と、あと20年未満を逃げ切れればよい高齢者とでは求める政策が異なるのは当然です。

1億2000万人の日本人のうち、20~64歳は約55%、65歳以上が約29%ですので、18歳以降の有権者のうち65歳以上の高齢者は実に3分の1を占めています。

そして、18歳~30歳の投票率が低く、高齢者の投票率が高いことを考えますと、各党にとっては、高齢者向けの政策を競うことが、最も票につながる合理的な手段、ということになります。これは多数決の原理の当然の帰結といえます。

しかし、高齢者が、短期的な視点から自らに利益誘導してくれる政治家を選ぼうとする限り、日本に未来はありません。20年後にも日本は存在し続けるからで、長期的な視点を欠いたツケは必ず将来にまわってきます。

さきの日経朝刊では、「各党が分配政策を競う姿は、日本が高齢者向けの政策を優先する『シルバー民主主義』に陥ったことを示しているのかもしれない。」と述べて警鐘を鳴らしています。

もちろん、「分配」を語りさえすれば高齢者の票を獲得できるなどという単純なものでもありません。
上述した吉村大阪府知事の応援演説では、平日の昼間ということもあり、聴衆には高齢者が多く見受けられましたが、「分配」よりも「成長」を、と述べる吉村氏の演説に多くの高齢者が聴き入っていました。自分の子や孫の世代にツケを支払わせるべきではない、と考える高齢者もまた当然に多数存在するのです。

まとめ

「分配」が重要なことは言うまでもありませんが、さりとてここ20年、まったく成長していない日本では「分配」のためのパイは限られています。

まずは「成長」により「分配」するパイを増やさなければなりません。無軌道に今あるパイを「分配」するだけでは、60代があと20年逃げ切ることは出来ないのかもしれません。

持続的な発展の道筋をつけるには「成長」について語ることのできる政治家が必要です。
誰が成長戦略について語っているか、分配する財源について説明しているか、このことに真摯に耳を傾ける必要があります。

しかし、このことを語る政治家は非常に少ない、というかいないとすら言って良い・・・ 少子高齢化していく日本において、成長戦略を打ち出すのは極めて難しいと言わざるを得ません・・・デジタル化を推進すれば突然生産性が向上するなどという単純な話ではないからです。しかも、少なくとも解散前の岸田内閣からは抜本的な改革を進める雰囲気は感じられませんでした。

少子高齢化・人口減少のもとでどのように生産性を向上させ、成長力を維持するか、このままではジリ貧は確実な中で、座して死を待つわけにはいきません。将来に向けた「成長」のビジョンを持っているリーダーが必要です。それは果たして誰か。少なくとも、給付金の額で入れる候補者・政党を決めてしまえば、もらった給付金をはるかに上回る損失を将来世代が被ることは確実でしょう。

つらつらと書いてはきましたが、結局誰に、どこに入れるのか、というと難しい問題です。
岸田自民は迫力に欠ける(とはいえ、河野さんだったら諸手を挙げてバンザイかというとそうでもなかった・・・)・・・
この非常時を民主に任せることは到底出来ない・・・
維新が言う「財源」は無駄を省くことによる支出抑制だが行政改革だけでは経済成長にはつながらない・・・

悩みながらも、誰かに入れるしかありません。

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