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2021-06-17

銀座山形屋「THIN JACKET」レビュー アンコンジャケットについての考察 弁護士の服装②

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こんにちは。齋藤です。

弁護士の夏のジャケパンスタイルにアンコンジャケットはアリかなしか。

今回は、夏の服装におけるこの↑↑↑問題について答えを出すべく銀座山形屋アンコンジャケットであるTHIN JACKETを仕立てましたので、レビューしたいと思います。

目次

1 夏はジャケパンでも許される。

アフターコロナに向けてますます服装のカジュアル化が進む現在にあって、弁護士業界もスーツでなければならない、というわけでもなくなってきたように思われます。

特に夏は、官公庁や企業においてもクールビズが叫ばれるなかにあって、スーツでタイドアップの必要性はほぼないと言って良いのではないでしょうか。

コロナを境にスーツ姿のビジネスマンの割合が極端に減ったように感じ、ともすれば、スーツでタイドアップという姿が「やりすぎ」に映ってはいないかと戸惑うことすらあります。

しかし、裁判所に出入りし、企業のお客様とお会いすることを考えますと、Tシャツにジーパンというわけにはまいりません。

そこで、少なくともジャケパンスタイルでいる必要はあることになりますが、ジャケパンになると、ジャケットとパンツの色合い、ジャケットとパンツの生地感など、スーツスタイルよりもむしろ考慮要素は増え、ともすれば難易度は上がるとも言えます。

大外しを避けるという発想をすると、結局のところ、ネイビージャケット+グレーパンツというベタな服装に落ち着くのですが、このあたりでしっかりと検討を加えたいと思います。

まずはジャケットから考えたいと思います。

2 アンコンジャケットとは

「アンコン」とは、アンコンストラクティッド」(非構築的の略で、肩パッドや前身頃の芯地等の副資材が使われていない仕立てを指します。

副資材を使用していないぶんカッチリ感が薄れ、カジュアルな雰囲気となります。

また、特に前身頃の芯地が無くなることにより重量が軽くなり、通常のジャケットであれば幾重にも重ねられている服地の重なりが減るため、体感的に涼しくなります。

夏にジャケットを着る場合、このアンコンジャケットであれば、副資材を使用したしっかりした作りのジャケットに比べてだいぶ快適に着ることができます。

他方で、カジュアル感が高いので、少なくとも私はこれまで、アンコンジャケットはカジュアルシーンで使うことを想定したものしか持っていませんでした。

ですので、夏場にビジネスでジャケットを着用する場合には、アンコンではなく、通常のジャケットを汗をダラダラかきながら頑張って着ていました。

しかし、このコロナ禍による服装のカジュアル化の中で、アンコンジャケットでも許されるのではないかと思うようになり、今回、ビジネス使用目的でアンコンジャケット購入に踏み切ることにしました。

3 アンコンジャケットのバリエーション

まず、一口に「アンコン」と申しましても、その実、様々なバリエーションがあります。

大まかに言いますと、次の3パターンがあるのではないかと思います。

①構築的非構築

②非構築(袖に裏地あり)

③完全非構築(袖に裏地なし)

順に見ていきます。

 

まず、③は、袖の裏地なしの完全非構築型です。

③のものは、生地からして完全にカジュアルなシーンでの着用を想定したものとなっている製品が多い気がします。他方で、オンにも使えそうに見えるものもあります。

袖の裏地がないぶん腕までも涼しく、涼しさ倍増のような気はします。

他方で、袖を通す際にシャツとジャケットの袖との摩擦が大きくなり、ジャケットとシャツの生地によっては袖通りが悪くなり若干イライラするかもしれません。

 

↑↑↑リングヂャケットのこのモデルなどは、袖の裏地なしなのですが、ネイビー無地なので、人によっては、ビジネスでもギリギリ可能と感じるかもしれません。

他方で、筒袖といって、袖にボタンがついていない仕様となっており、やはりカジュアル度は高く、ビジネス不可と感じる人も多いかと思います。

次に、①の構築的非構築型としては、アンコンジャケットのプロトタイプと言われる、ボリオリのジャケットがこれに該当するのではないかと思います。

 

↑↑↑この「ドーヴァー」というモデルを実際に試着してみたのですが、ラペルの辺りにごくわずかに薄い芯が入っている?ため、シワは一切入らず、バスト周りはピシっとして見えますが、それとはうって変わった軽い着心地に驚かされます。

 

特に、ネイビーであれば、オンで使うことに全く問題はありません。

むしろ、かなりピシッとして見えるため、基本的にはドレス寄りのシーンで使うことになると感じました。

カジュアル使いをする場合、極めてキレイめな感じになり、かつモードな雰囲気が漂いますので、私ではカジュアルシーンで使いこなせないでしょう。

というわけで、①構築的非構築はビジネスにおいて全く問題なく使用できます。

 

ビジネスにおいてアンコンジャケットはアリかなしかという問いの答えは、結局のところ、「モノによる」、という当たり前の結論となってしまいそうです。

 

ボリオリ「ドーヴァー」にはかなりグッと来ました。

ただ、いかんせん値の張る買い物になります。

一方で、日本の夏の着用環境は苛酷です。

梅雨やゲリラ豪雨に晒され、高い湿度と時に40℃を超える気温で汗だくになります。

このような、イタリアとは全く異なる日本の夏の着用環境で、イタリア製ジャケットが長持ちするのか不安になり、長く着られるとは限らないジャケットにどこまでお金をかけるべきか躊躇しました。

さらに、明らかにビジネスで着用可能なものを購入するというのは、どのレベルのアンコンジャケットであればビジネスで使用可能なのかを探るという今回の試みの趣旨とも異なると考え、結局購入は見送りました。

 

最後に、②非構築(袖に裏地あり)ですが、今回購入した銀座山形屋「THIN JACKET」などはこれにあたると考えられます。

↑↑↑宣伝文句として謳われているとおり、ジャケットというよりカーディガンに近い着用感です。
ラペルにも一切芯地が入っていないため、身体の線に生地が添って、丸みのある雰囲気になります。

 

また、袖にはキュプラの裏地が貼ってありますので、着脱しやすいです。

オフよりに感じられますが、タイドアップしてオンに寄せることも可能なので、オフにノータイでチノパンと合わせて使うことをニラみ、こちらを選択しました。

また、銀座山形屋であれば基本的にはビジネス使いを想定してデザインしているとの推定が働きますので、安心してオンに使うことができそうです。

あと、気になるお値段ですが、リングヂャケットやボリオリと比べますと、銀座山形屋の「THIN JACKET」は比較的安価と言えます(もちろん選択する生地次第ですが)。

さらに、同社の株主優待券を使えば、2~3割引きで購入することができます。

4 「THIN JACKET」のオーダー

銀座山形屋はオーダースーツの店ですので、色や生地、ボタン等は自分で決める必要があります。

まず、色はネイビーにしました。

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なぜネイビーかといいますと、まず、青系というのが何となく涼し気。

ライトグレーでも涼し気ではありますが、ジャケットをライトグレーにすると、パンツはネイビーかチャコールグレーと選択肢が狭まります。

ジャケットにネイビーを持ってこれば、パンツは各種グレー、あるいはネイビーでも色調を変えることでそれはそれでアリのような気がしますので、要するにライトグレーよりも選択肢が増えるものと思われます。

 

次に、柄は無地

柄が入っていると、やはりパンツとの関係で選択肢が狭まります。

また、ネクタイの合わせも難しくなりますし、そもそも、夏はガチャガチャしていないほうがいいという個人的な考えもあります。

次は生地感ですが、単品ジャケットとするなら、スーツ地として使うような、シルク混のフォーマル度が高いものは、色違いのスラックスとの間で摩擦が生じます。

そこで選んだのがこの生地

カノニコ↓↓↓の「MESH JACKTING」です。

 

↑↑↑生地の説明はこちらが分かり易いかと。

 

その名の通り、メッシュになっており、いわゆるホップサック(粗い平織り)でかなり通気性がありそうです。

ウール100%で、280g/mと、真夏向けにしては少し重めなのですが、他方で、適度なハリ感があるため、アンコンで仕立ててもシワがよった感じにはなりません。

湿度が高い日本の夏でもかなり活躍してくれそうな気がします。

余談ですが、私は以前より、アイリッシュリネンに強いあこがれを抱いており、スペンス・ブライソン(Spence Bryson)のアイリッシュリネン100%の生地で仕立てたいとも考えていたのですが、370g/mのヘビーウエイトなバンチを見ていますと、真夏に汗だくになる図しか思い浮かばず、アイリッシュリネンからは撤退せざるを得ませんでした。

リネンを見たいと伝えますと、エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)のリネン100%も出して頂けました。

ゼニアのリネンは、重さは290g/mと厚みもそれほどなく、これならいける、とも感じましたが、やはりホップサック生地と比べてみると通気性は低いようにも思え、ミドルウエイトくらいのリネンよりもウールのホップサックのほうが涼しそうに思えました。

もっと言いますと、私にゼニアはまだ早い、とも感じましたし。

5 仕立て上がり

というわけで、仕立て上がったのがこのジャケットです。

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↑↑↑一枚仕立てです。
袖裏にはキュプラの裏地が貼ってあります。
胸の位置の内ポケットはありませんが、タバコポケットの位置にポケットが付いています。

↓↓↓メッシュ生地なのでスケスケです。とにかく軽い!

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合わせるパンツはとりあえず2パターンを考えています。

くだけ過ぎない、チャコールグレーのウール100↓↓↓

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くだけてみせるためのネイビーのチノパン↓↓↓

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6 着用しての感想

というわけで、さっそく着てみました。

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肩回りがかなり丸くなっているのがお判りいただけるかと思います。

通常のジャケットのカッチリ感はなく、本当にカーディガンのようなユルさ加減です。

ゴージラインは高めに設定されています。

ラペル幅は8.5cmで注文しました。何となくですが、ふんわり丸い作りとナローラペルはマッチしないように感じましたので、少し太めにしてみました。

 

良い点:どう考えても涼しい!

とにかく軽い着用感です。芯地がしっかり入ったジャケットと比べますと、どう考えても涼しいはずです。

 

悪い点:前肩補正がきかない!

前肩補正というのは、アジア人に多いと言われる前肩、すなわち、左右の肩が前方(胸側)に入り込んだ体形に合わせて、ジャケットの袖を前側(胸側)に取り付けることを言います。

私は、かなり前肩がキツいので、銀座山形屋でオーダーする際には必ず前肩補正を強めにかけてもらっていたのですが、この「THIN JACKET」では前肩補正はできないとのこと・・・

もちろん、発注する際に説明を受け、まあいいかと思ってオーダーしたわけですが、私にとってはかなり着心地を左右する要素であったことにあらかじめ気づかされました。

すなわち、肩関節が前身頃に当たる感覚があり、これまでに山形屋でオーダーした4着のジャケットたちに比べると、「体に合っていない」感じがあるのです。

ただ、とにかくこのジャケットは軽いので、芯地がバッチリ入っているジャケットの「体に合っていない」感覚ほどは「合っていない」感覚は気になりません。

しかし、オーダーなんだからとにかく体形にしっかり合わせてよ、と考える人は注意が必要かと思われます。

7 外を歩いてみての感想

6月中旬、20分ほどこのジャケット・ネクタイの格好で外を歩いた(気温はこの時期にしては暑い29℃)のですが、シャツは汗まみれになり、肌着が透けるほど汗をかきました・・・

結局、このジャケットでも汗をかくわけですが、他方で、芯地やパットが入ったパリッとしたジャケットだと、ジャケットまで汗みずくになっていたことでしょう(そうなる前に脱ぎますが)。

そうしますと、やはり体感としてはかなり涼しく感じると言えそうです。

まとめますと、

スーツじゃなくてジャケパンでも許されるシーン
かつ
暑いけどジャケットは着なければならない

という条件のもとで最も効果を発揮するものと思われます。

弁護士業務の中でこのようなシーンを考えますと、

①裁判所での訴訟等(スーツを着てかしこまらなくてよい案件)

②事務所での打ち合わせ(ジャケットを脱いでいたら失礼だと感じるお客さんを相手にする場合)

という感じになりましょうか。

このように考えますと、このアンコンジャケットというものは弁護士という職業を前提としてもかなり使えるアイテムと言えるのではないでしょうか。

購入を検討されている方は、一着持っていて損はないと思います。

 

長々とお読み頂きありがとうございました。

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