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2023-05-07

チノパンについての一考察 弁護士の服装⑤ インコテックス モデル100

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こんにちは。齋藤です。

令和5年5月8日から新型コロナウイルスが5類に移行し、いよいよ3年にわたるコロナ禍に終わりが見えてきたわけですが、リモートワークの拡大等により他人に直接会う機会はますます減り、「良い身なりをしている」ことの意義がこれまでになく小さくなりつつあることを感じているのは私だけではないはずです。

事務所のある滋賀県草津市はもとより、大阪や京都のオフィス街でも道行くサラリーマンがビシッとスーツでキメている姿はますます少なくなってきているように思われます。

そのような中、23SSシーズンが到来し、ますますスーツがクローゼットの奥に追いやられてしまう今日この頃です。

というわけで、今回は、チノパンで仕事をする、という話をしたいと思います。

1年前(2022年4月)のこちら↓↓↓の記事では、もうそろそろスーツ一辺倒ではなく、ジャケパンで仕事をしてもいいのではないか、という話を書きました(ジャケパンはOKにせよ、リネン100%は一足飛びだったかとの反省はありますが)。
ジャケパンのすすめ 弁護士の服装③ 日常業務の際の服装 リネンジャケットすらもアリなのか? | 滋賀県・草津市の弁護士|ミカン法律事務所 (mikanlaw.jp)

さらに、こちら↓↓↓の記事では、冬にはタートルネックもアリなのではないかという話を書いております。
タートルネックはアリ?ナシ? 弁護士の服装④ ジョンストンズのカシミヤタートルネック|齋藤真宏@先生と呼ばないで/トラッドスタイル弁護士/地方のマチ弁のニューノーマルを模索中|note

弁護士業界に関して言えば、裁判もWEB、依頼者との打ち合わせもWEB、となりますと、スーツでビシッとキメていようが、セーターにジャケットだろうが、モニターの向こう側の相手に与える印象はほぼ同じ(WEBカメラを通してしまえば、相手のスーツが上物かどうかもよくわからない。)と言っても過言ではありませんので、いきおい、スーツでキメる気分になりにくいのが実情です。

そんなわけで、紳士的な装いを目指して書いているはずのこの「弁護士の服装」ブログにもカジュアルな気分が蔓延しはじめてきております(嘆かわしいことではありますが・・・)。

とは言うものの、実需には勝てず、私のワードローブも着実にカジュアルの侵食を受けております・・・
そんなわけで、何はともあれ、以下では、チノパンの仕事での使用について検討を加えていきます。

チノパンの経済性

もはやジャケパンは当然許されるとして、さすがにボトムスはウールのスラックスであることを前提としていたわけですが、タートルネックも許されるのなら、ウールのスラックスよりもさらにくだけることも許されるはず。
さて、ウールのスラックスをさらにカジュアルにするなら何を持ってこようか、と考えた時、ビジネスカジュアルとしてはやはりチノパンになるのではないでしょうか。

ウールのスラックスがドレス寄りのアイテムとしてもっぱらオン寄りであるのに対し、チノパンであればオンオフ兼用間違いなし。
そして、ウールのスラックスが5年くらいでヘタり、おしりがテカテカになってくるのに対し、厚手のチノパンはジーンズのように10年は履けます(学生の時に購入したポールスミスのカーキ色のチノパンは、15年が経過した今も、裾幅などの微妙なお直しを経つつ、なお健在です)。

このように、ビジネスカジュアルとしてチノパンが使えるのであれば、装いの幅が拡がると同時に経済的でもあります。

そもそもチノパンとは

そもそも、「チノパン」とは何なのでしょう。
ビジネスでの使用にあたって、その服のそもそもの由来を知っておくことは非常に重要なことだと思われます。

チノ・パンツとは、「チノ・クロス」と呼ばれる綿やポリエステル(まれに麻)の生地を用いて縫製されたズボンの一種である。略称は「チノパン」「チノ」。

チノ・クロスは綿のツイル生地で、元々は19世紀中頃にイギリスやフランスの軍隊の制服に使われた生地である。作業着にも使われていることが多い。デニムと同じく右綾と左綾があり、右綾はウエストポイントと呼ばれることがある。防水加工が施されているものもある。なお、チノ・パンツの呼称は和製英語であり、英語圏では「チノーズ」と呼称されている。

チノ・パンツは主にカーキ色、茶色またはそれに類する色のものが多い。これはチノ・パンツの起源といわれているイギリス陸軍のズボンに由来する。イギリス陸軍のズボンは元々白であったが、汚れやすく敵からとても目立った。そのため、インドに駐屯していた士官が土色に染めさせた。それが制式な軍服の生地として採用され、定着した。

チノ・クロスというの呼び名の由来は諸説ある。
①第一次世界大戦中の1900年代、フィリピンに駐在していたアメリカ陸軍が軍服に使うため、イギリス軍で使われていたカーキ色(黄褐色のカーキ)の生地を「China(中国)」を経由して輸入したからという説。
②スペイン語で中国人という意味の「Chino」から来ているという説。フィリピンでは戦争後これらの服装を着たのは中国人農民 (Camisa de chino) であり、名前の由来となったとも言われる。
③「焼いた」という意味を指すスペイン語の南米方言の「chino」という言葉からできたという説。

チノ・パンツ – Wikipedia

「チノ・クロス」という生地を用いたパンツというわけですね。
元々は軍用のズボンだったようです。
ミリタリー由来のものだと考えますと、もともと作業着だったジーンズ同様、かしこまった場にふさわしいものではないことは押さえておく必要があります(わざわざ由来を調べるまでもなくだいたいわかりますが・・・)。

ところで、綿100%の綾織(ツイル)生地以外の生地から作られたものも、今日では「チノパン」と呼ばれているように思われます。このあたり、「チノパン」とは呼びにくい綿のパンツとの境界線は非常にあいまいなように感じます。

チノパンの種類

「種類」というほどの話ではないですが、ドレス寄りのもの、カジュアル寄りのものを区別する必要があるものと思われます。

様々な製品がありますので、一概にどちら寄りだとも言いにくいわけですが、まずはセンタークリースの有無がその指標になるものと思われます。

センタークリースのあるドレス寄りのものであれば、ジャケパンにおいてウールのスラックスと同様のキチンと感を出せるものと思われます。
他方で、センタークリースのないものはロールアップして着用することもできるなど、カジュアル感の強いアイテムと言えます。

このように考えますと、仕事用として使うのであれば、クリース入りのチノパンを選択するのが無難ではないでしょうか。

色はとりあえずネイビー一択

チノパンといえば、まずはカーキ色を想像するものと思われます。
しかし、カーキ色はビジネスの場にふさわしい色とは言えなさそうです。

カーキ英語:Khaki)とは「土埃」を意味する言葉で、主として軍服に用いられる淡い茶系色を指す。古くは泥濁色と訳す文献もある。

英語の「khaki」はヒンディー語の「ख़ाकी、khākī」(土埃色の)の借入語。これは更にペルシャ語の「خاک、khāk」(土埃)からの借入語である。

JIS慣用色名において「カーキー」 として定義されている色は「茶色がかった黄色」と表現されるものであるが、軍服の色は国や時代によって差異があるため、現実には橙色に近いものから緑色に近いものまでかなりの幅を持って使われており、単一の色調を示す用語ではない。このため「砂色」「枯草色」などと呼ばれる場合もあり、現代日本においては「黄土色」や「オリーブ色」「ベージュ」なども広い意味でのカーキ色に含まれる。 ただし、諸外国では後述する本来のKhaki(砂色)のみをカーキと呼ぶ場合が多く、定義上の齟齬が生じる例がしばしばみられる。この場合、サンド(砂色)と呼ばれることもある。

軍服としてのカーキ色は、19世紀半ばに植民地であるインドに駐留していた英国軍が、白い夏服の汚れを嫌って当地のを用いて服を染め、それを現地語でカーキ と称したのが始まりであると言われている。その後、「軍服色」という意味合いで、森林地帯での戦闘を想定して採用された米軍のくすんだ濃緑色(オリーブドラブ) のこともカーキと呼ばれるようになり、英語圏でも色の定義が混同されるようになっていった。しかし、ヨーロッパ諸国の軍服に用いられる青やグレー系統の色 は、軍装色であってもカーキと呼ばれることはない。

カーキ色 – Wikipedia

再びWikipediaからの引用ですが、要するに、カーキ色は軍用色なわけです。
カーキ色のチノパンはビジネス使いにはあまりにカジュアル過ぎる、と言うべきでしょう。

ところで、この「カーキ色」ですが、私は「カーキ色」と言われればもっぱら緑っぽい色(上記Wikipediaにいうオリーブドラフ)を想像していましたが、黄土色もこそがもともとも「カーキ」だったんですね・・・

いずれにせよ、もっともベーシックな色であるカーキのほか、ベージュ、グレーや黒などもありますが、ビジネスでの使用を見据えますと、やはりネイビー一択ではないでしょうか。
黒はモード過ぎるとして、他方で、グレーを選択肢から外すのは、綿のグレーはウールのグレーに比べて発色がなんだかイマイチだと感じるという私の個人的な感覚です・・・

少しでもドレス寄りのものを、と考えますと、ビジネスの王道の色、ネイビーで決まりなのではないかと思います。

ブランド

もちろんさまざまなブランドのネイビーのチノパンがありますが、我々アラフォービジネスマンがチェックしがちなのが、パンツ専業ブランドの
①インコテックス
②PT TORINO
あたりではないでしょうか。

というわけで、このたび、一度は履いてみたかったインコテックスを購入してみましたので、着用感等をレビューしたいと思います。

「インコテックス」100番のチノパン

型番

インコテックスには様々な型番があります。
30:最も定番のモデルでウール等のスラックスに用いられる。ノータック。
31:ワンタックのスラックス。
35:日本市場向け。30をベースに平尻の日本人に向けてヒップを小さくするなどの改良を加えているらしい。
100:パターンは30で生地がチノ。クリースなし。

外観

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写真で見ると新品なのですがかなりヤレ感があるように見えます。
実物はこれほどクッタリしてはおりませんが、何とも言えない雰囲気があります。インコテックス得意のガーメントダイ(製品染め)のなせる技でしょう。

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v字スリットや複数配置されたボタンに至るまで、フィット感を高める仕掛けが満載です。この作り込み・・・高いモノには理由があるというべきか・・・

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裾の始末ですが、クリースが入っていないので、ロールアップできるようタタキで仕上げます。

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ロールアップして使ってくれ、と言わんばかりに赤い耳が入っています。

着用感

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私の足が短いのはさておいて、今日的にはかなり細身のシルエットです。
20代にとっては細過ぎると感じるかもしれません。
172cm 62kg でサイズ30を着用しています。
私は尻が大きく、太ももが太いので、お尻や太ももで合わせてウエストを詰める場合が多いのですが、ウエストを詰める必要もなく、ピッタリのサイズ感です。

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サイズ30の場合、デフォルトの股下は83センチですので、6センチ詰めて股下77センチにしました。
写真のチャッカブーツとの合わせ、短靴との合わせ、ローファーとの合わせ、などを考えると、ある程度股下を長めにとっておいてロールアップして調節する、という考えに行き着きます。
ロールアップする際の折り返しの幅、折り返す回数を念頭に置きつつ詰める長さを検討する必要があります。長すぎたとしてもまた詰めれば良いですが、短過ぎるとどうしようもなくなりますので、事は慎重を要します。

小括

ここまで書いてきてなんですが、インコテックスの100番のチノは、ガーメントダイ+クリースなしによって、かなりカジュアル寄りのアイテムと言えそうです。
少なくとも、上の写真のようにトリッペンのチャッカブーツと合わせてしまいますと、仕事相手と初めて会うのにふさわしい格好とはさすがに言えないでしょう。

というわけで、仕事での汎用性をもとめるなら、やはりクリース入りのものを選ぶ必要がありそうです。

「リングヂャケット」のネイビーチノパン

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こちらのような、クリース入りのネイビーのチノパンであれば、仕事用として全く問題はないものと思われます。
さらに、下の写真のように、タートルネックと合わせることもでき、キレイめのオフの服装としても使えますので、汎用性の高いことこの上ないように思われます。

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「バーンストーマー」のチノパン

なお、ほぼ同じようなネイビーのクリース入りのチノパンなのですが、以前からこちら↓↓↓の製品が気になっております。
バーンストーマーのノープリーツドレスチノ (barnstormer.shop)

実際に試着してみたのですが、太すぎず細すぎずのパターン、国産✖️アメカジということで、国産の丁寧な作り、これぞ「チノ・クロス」という厚手のガシっとした生地、しっかり履き込んでみたくなる逸品でした。

おわりに

結論としましては、ネイビーのクリース入りのものであれば、チノパンは十分に仕事用として通用する、と言えるのではないでしょうか。
また、同じネイビーでもよりパキッとした色のもののほうが、ドレス寄りでビジネス許容性が上がるものと思われます。
そんな感じで、今年の春夏は、ジャケット+ネイビーチノパンを多用したいと思います。
23SSシーズン、ネイビーチノパンを1本買っておいて損はないでしょう。

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