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2020-05-17

代理人を務めている事件が判例時報に掲載されました。

代理人を務めている事件が判例時報2434号3頁以下に掲載されました。

大津地方裁判所平成30年11月27日判決です。

障害者虐待防止法上の対応を怠ったとして,近江八幡市を相手どり,国家賠償請求を行った訴訟について、一部勝訴判決を得たものです。

1 判決のポイント
①  経済的虐待防止の対応を怠った市の責任を認めた初の判断
②  障害者虐待防止法に基づく義務の違反を認めた初の判断
③  行政による不作為の違法を認めた稀なケース

2 事件の概要(判決の事実認定)
原告は,交通事故により高次脳機能障害等を負って重度の障害者となっていたところ,平成24年7月以降,数回にわたって近江八幡市役所障害福祉課を訪れ,保佐人である元妻(虐待を受けていた当時は、原告と婚姻しており、その後、提訴までに離婚した。)から虐待を受けていると相談した。
そこで、近江八幡市の職員は,元妻からの虐待を理由として,二度にわたって原告を施設に一時保護したものの,他方で,原告からの相談を障害者虐待防止法における虐待の届出とは捉えず,同法に則った対応を行わなかった。
また,近江八幡市の職員が原告の元妻から預かった通帳の写しによれば,1年に合計約1500万円の払戻しがあることが記載されていたことから,出金の頻度等から異常性は明白であり,原告の交通事故保険金が使い込まれる危険があると認識していた。それにもかかわらず,元妻に指導する,原告に対して元妻の支出の異常性を説明するなどといった適切な対応をとらず,保険金の費消を見過ごし続けており,障害者虐待防止法のスキームに則った適切な対応をとらなかった。
こうした不作為により,元妻による心理的・身体的虐待が繰り返されたこと,1億円以上の保険金うち約6000万円を費消されるという経済的虐待が生じたことについて,損害賠償を求めたのが本訴です。

3 判決の要旨

● 身体的・心理的虐待について,近江八幡市は,一応,一時保護等の対応を行っているので,それが障害者虐待防止法上の対応ではなかったとしても,違法性はない。
● 経済的虐待について,近江八幡市は,遅くとも平成26年1月17日までには元妻が口座から多額の出金をしており,このまま放置すれば原告の将来の生活費に充てるべき金銭が散逸されてしまう危険が現実に差し迫った状態であることを認識していた。
●近江八幡市は,原告に対し,口座からの出金状況及び残額を伝え,本件口座の管理を元妻に任せたままでよいのか確認した上で,銀行に依頼することで本件口座からの出金を停止できる旨教示すべきであったのに,これを怠った点に違法性がある。

4 今後の展望

原告・被告双方からの控訴により、現在、本件は、大阪高等裁判所において審理中であり、上記の大津地裁での判決は確定してはおりません。

本件訴訟は、行政の虐待対応のスタンダードの線引きを定める重大なものと位置付けることができ、本件訴訟を勝ち切ることは、今後の虐待対応実務において重要な意義を有すると考えております。

これからも、先例のない事件に取り組み、実務にインパクトを与えるような結果を獲得できるよう努力を重ねていきたいと思います。

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