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2020-09-10

ハーバード流交渉術 ●イエスと言わせる方法 その4

こんにちは。齋藤です。

 

今回も「交渉」がテーマです。

 

ブログをアップするたびに、「長すぎる」とのご指摘を頂いておりますので、前回から短めにしてお届けしております。

当初の予定では、この「ハーバード流交渉術」は全2回でお届けすることを想定していました。

しかし、PCで読むならいざ知らず、スマホで読むにはスクロールが多すぎるとのごもっともないご意見を多数頂戴し、短縮化を図ってまいりました。

結果、その4を数えた今回に至っても、さらにあと3回は必要となりそうです・・・

 

さて、「ハーバード流交渉術」(フィッシャー&ユーリー 金山宣夫 浅井和子訳 三笠書房 1990年1月刊)をもとに、優れた交渉のありかたを考えるこのブログですが、今回も、前回同様、「解決の扉を開く交渉戦術」(第Ⅱ章)のパートの多岐にわたる記述の中で、私が実際に「使える」と感じた「戦術」(というか金言)に触れていきたいと思います。

 

 

 

まず、「ハーバード流」の基本的な視点のおさらいです。

① 人:人と問題とを分離せよ

② 利害:立場ではなく利害に焦点を合わせよ

③ 選択肢:行動について決定する前に多くの可能性を考え出せ

④ 基準:結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ

 

今回も、上記の4つの視点を敷衍して、具体的な場面でどのようにふるまうべきかについての記述を見ていきます。

前回は1・2でしたので、今回は、3・4と番号をつけています(次回は5・6)。

 

3 「相手との『共同作業』として交渉を進めよ」

「交渉者が相互ににらみ合う敵対者と考えるならば、人間の問題と問題の本質とを切り離しにくい。

そういう状況の下では、実質的な問題について語ったことも、相手個人に向けられたかのように響き、またそう受け取られてしまう。

どちらも防御と反発に専念し、相手の正当な利益や関心ごとに注意を払おうとはしなくなる。」

交渉を効果的に進めるために必要なことは、両当事者が相手を、双方に有利で公正な解決策を見出すべく、懸命に努力しているパートナーだと考えることである。

「相対する関係でなく、共に手を携える関係にあることを相手に認識させるためには、そのことを率直に取り上げればよい。

『我々は弁護士(外交官、ビジネスマン、家族など)同士では同視ではありませんか。あなたに要求を満たせなければ私の要求も満たせないのです。

一方的というのでは解決にならないわけでしょう。両方の要求を満足させられるような解決案を一緒に考えようではありませんか』といった調子である。」

 

この部分は、とても示唆に富んだ、極めて重要な記述と言えるでしょう。

 

弁護士も人間ですので、相手方の交渉者から強い口調で一方的な主張をまくしたてられれば、反発をおぼえ、反論したくなります。

また、依頼者から話を聴くことで、依頼者の立場に自己を同化させてしまいがちです。

しかし、その一方で、相手方もまた同様に一定の言い分があるわけで、相手方の言い分が全く的外れである場合を除き、一方だけが譲歩しなければならない関係にはないはずです。

そして、交渉ごとである以上、お互いにある程度納得のゆく結論に達せなければ、交渉は成立しません(その時は、裁判などで決着をつけるほかないでしょう)。

そうすると、お互いの言い分を述べ立て、相手を非難することに終始するのではなく、相手の立場(あくまである程度正当な主張をしている前提ですが)に理解を示すことも必要になってきます。

 

これは、交渉者がお互い弁護士であれば、さらに、重要と言えるでしょう。

弁護士はあくまで「代理人」であって、当事者本人ではありませんので、相手方の主張に対し、いちいち怒りを覚える必要はありません。

また、弁護士が当事者から依頼されているのは、主張を「代弁」することではなく、「交渉」です。

つまり、弁護士が当事者に代わって行うよう求められているのは、当事者の主張を代弁し、相手方を声高に非難することではなく、「交渉」を取りまとめることであり、そのための最善手を探ることなのです。

そして、弁護士としては、交渉を成立させなければ依頼に応えられませんので、交渉を成立させるということに関しては、相手方の弁護士との間で利害が一致することになります。

従って、弁護士同士の交渉では、このような利害の一致を利用し、「共同作業」として交渉を進めるべきということになるわけです。

 

 

4 「結論を先に示すと『反発』が待っている」

「建設会社の代表者に、いきなり『工事現場の周りに囲いを48時間以内に作ってください。それから、工事が始まったらトラックが付近を通るときには時速15キロに制限してください。なぜかといいますとね…』と話を始めたら、もはや相手はその理由を聞こうとしないだろう。

彼は既にあなたの考えを聴いてしまったし、それに対する反論を考えるのに忙しいからである。

彼はたぶん、あなたの語気や提案自体に反発し、結果としてあなたの言い分の正当性は全く耳に入らないだろう。」

自分の理由を聞いてもらい理解してもらいたいときは、自分の関心と根拠を最初に述べ、結論や提案は後にすべきである。

「少なくともあなたの要求が結局何であるのかを知るためだけでも耳を傾けるだろう。

十分理由を説明してから要求を切り出せば、彼らはその理由を理解するに違いないのである。」

 

相手が話をしているにもかかわらず、相手の話をそっちのけで、次に自分のターンになったときに何を話そうかとばかり考えてしまうことは、だれしも経験のあるところかと思います。

 

理路整然と話すことができる人は、概して、「結論から言うと、○○です。その理由は3つあります。」、というような話し方をしがちです。

一般的に言っても、そうした話し方のほうがわかりやすい話し方だとされているように思います。

しかし、本書によれば、そのような話し方は、交渉の妨げになるということになります。

 

英語も中国語も、主語・動詞が最初に提示されますが、日本語は、主語が提示された後、構文の最後になるまで動詞が現れません。

そのような特長から、日本語の文章は、根拠を先に述べて結論を後回しにするという作りになりやすいと言われます。

結局はその場での話し方次第のような気もするのですが、一方で、確かに、他人との調和を貴ぶ日本人的話し方のほうが、結論からズバっと話してしまう英語や中国語の話し方よりも「反発」が生じにくいというのは、なんだかわかる気がします。

また、最後まで話を聴かなければ結論がわからないという意味で相手がこちらの話を傾聴しなければならない動機付けになるというのも合点のいく話です。

 

基本的に、「考え方」レベルの金言(上記3のように、~のように考えろ、という話)が多い本書の中で、この、「結論を先に示すと『反発』が待っている」という金言は、話し方さえ変えればいいという点でとてもとっつきやすく、今すぐにでも取り入れることができるアドバイスかと思われます。

 

 

この一連の金言シリーズは、次回の5と6とで終了です。

 

次々回以降で、ようやく、実際の交渉の際に相手方がこう出てきたらどう切り返すか、というようなパートに入っていきたいと思います。

 

次々回以降が本書の最も面白い部分ですので、今後ともお付き合いのほどお願い申し上げます。

 

 

 

 

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