森島商事株式会社様(滋賀県竜王町) 牧場見学体験記 最高の近江牛を目指して
今般、滋賀県竜王町所在の森島商事株式会社様↓↓↓と法律顧問契約を締結させて頂くこととなりました。
近江牛 毛利志満(おうみうし もりしま) (oumi-usi.co.jp)
同社のお仕事の把握のため、同社の牧場を見学させて頂けることとなりましたので、今回は、その模様をお送りさせて頂きます。
一般論として、弁護士が企業と法律顧問契約を締結したとしても、必ずしもお仕事の状況を見せて頂かなければ仕事ができないというわけではないのですが、当事務所では、できる限り顧問企業のお仕事を理解したいとの考えから、顧問契約時にお仕事の現場を訪問させて頂けるようお願いしております。
森島商事株式会社様には、この場を借りまして、改めて深く御礼申し上げます。
なお、本記事は同社様のご承諾を得て掲載させて頂いております。
●会社概要
森島商事株式会社の前身である森島商店は、明治12年(1879年)創業で、以来実に140年以上も牛肉一筋で歩んでおられます。
今でこそ「近江牛」ブランドは全国に名高いものですが、現在のように「近江牛」ブランディングが確立されるにあたって、森島商事が果たしてきた役割は非常に大きなものだったと考えられます。
↓↓↓こちらのロゴですが、「毛利志満」の文字の由来は、髪の「毛」ほど細くてわずかな「利」益で、勤勉・倹約・正直・堅実の「志」を忘れず、すべての人に「満」足していただける店を目指す、ことをパーパス(目的)としているそうです。
↑↑↑「毛利志満」はすき焼きを得意とされています。
我々もご相伴に預からせて頂いたのですが、霜降りの柔らかさ・甘さは筆舌に尽くし難く、「こんなに柔らかい肉食べたことない・・・」のひと言です・・・
オンラインショップでも取り扱っておられますので是非・・・
↓↓↓すき焼き嫌いで有名な海原雄山先生にもぜひ一度ご賞味いただきたいものです。
美味しんぼ 第5巻 「牛なべの味」より
ついでに言わせて頂きますと、個人的には、オンライン販売していない長浜黒壁店の店頭のみで購入できるローストビーフがとてもおススメです。
こんなローストビーフ食べたことない・・・という感じでして、ハレの日のパーティー用に、また贈答用にもうってつけの逸品です。
●牧場見学
牧場は竜王町の本社屋付近にあります。
普段何気なく食している牛肉ですが、実際の牛の生産現場に関しては全くの不勉強ですので、非常に楽しみです。
前提知識として、森島商事では、繁殖=母牛を飼って子牛を産ませ、その子牛を売ること、は行ってはおらず、肥育=仔牛を買って食肉用に育てることを専門にしています。
↓↓↓まず感じるのは、「全然臭くない」ということ。
風通しの良さ、清潔に取り換えられた敷き藁により、動物園のようなにおいは全くありません。
↓↓↓そして、牛一頭のスペースが広いことに驚きます。
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勝手なイメージでは、もっとギチギチに詰め込まれているものだと思っておりましたが、やはりそのような飼育環境では牛にストレスがかかり、健康でいい牛には育たないそうです。
こんなにスペースを広くとっている牧場は極めて珍しいだろうとのことです。
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心なしか、牛たちがのんびり・おっとりしているようで、とてもかわいいです。
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大きくなりすぎると理想の肉質は産まれないそうで、飼料の量に細心の注意を払い、「毛利志満」の近江牛として最適な大きさに育てます。
↓↓↓素人目にも「毛ヅヤ」が良いことがわかります。
毛利志満牧場では、黒毛和牛のみを飼育しており、その中でも、いわゆる但馬牛(たじまうし)の血統を濃く引き継いだ、生後7~10ヶ月の牝牛のみを買い付けているとのことです。
よって、毛利志満牧場の牛はすべて牝ということになります。
毛利志満牧場の牛はすべて牝と聞くと、「美味しんぼ」第6巻 「牛肉の力」のこのくだり↑↑↑が思い起こされます。
海原雄山先生は、「牡牛の肉は味が落ちる」、「牛の肉で旨いのは子供を産んだことのない牝牛の肉だ」と牡より牝が美味しいと明言していました。
牝牛の肉のほうが美味しいというのは、考えてみれば何となくわかる話で、つまり、メスの肉のほうがオスの筋肉質な肉よりやわらかいから、ということのようです。
また、牛は牡牛のほうが統計的に産まれやすく、その意味でも牝牛はより貴重だとのことです。
だからこそ、牡牛を去勢して無理やり柔らかくしてまで食べるわけです。
どのくらいの年月をかけて育てるか、という点ですが、毛利志満では、生後32カ月ほどを目安として出荷するとのことです。
32か月を目安とする理由はその頃に食い止めが起こる、すなわち、エサを食べるピークが過ぎてその後はやせていってしまうから、というのがその理由とのこと。
この点、雄山先生によりますと、うまい肉にするには3年以上(=36カ月以上)飼育する必要があるとのことですが、毛利志満の考えでは、食い止め後になお飼育したとしてもより良い肉質になるとは限らないとのことで、肥育期間が長ければ長いほどよい、というわけではないとのことでした。
なお、これほどの時間をかけるというのはコスト的には難しいことで、例えば生後24カ月で出荷する牧場も当然あるとのことでした。
しかし、それでは、味の深み、赤味とサシのバランスなど、理想の肉質には及ばないということのようです。
とにかく、手間ひま、愛情、気配り、心配り、そうしたものが隅々まで行き届いた飼育環境に感服しました。
もちろん動物相手の仕事ですので、365日休みはありません・・・
おいしい近江牛を安定して生産するためにいかに心を砕く必要があるか、生産者魂をまざまざと見せつけられた気がいたしました。
↑↑↑牧場の夕暮れです。忘れかけていた何か大切なものが見つかるような、心の原風景のような場所でした・・・
●おわりに
今回、毛利志満牧場を見学させて頂き、美味しい肉作りにかける情熱を肌で感じ、あらためて、ニッポンの畜産の未来は明るいと感じた次第です。
ニッポン全体の「稼ぐ力」が弱まっていると指摘され、さらに円安によって日本の購買力は低下するばかりです。
アメリカのGAFA、中国のアリババやテンセントなど、グローバルなIT超大手企業の動向にどうしても目が向きがちになる中で、バーチャルなデジタル産業と対をなす、リアルなモノづくりのすごさは、世界と戦う上で日本に残された最後の強みというべきかもしれません。
日本人がこのような仕事ぶりを続ける限り、「メイド イン ジャパン」はまだまだ世界で存在感を持ち続けることを確信いたしました。
この技術、この丁寧さ、この情熱は、まだまだ日本の武器であり続けることを確信しつつ、少子高齢化による人口減少が叫ばれるなかで、こうした畜産業の担い手の育成が極めて重要な意味を持つことを再認識いたしました。
地域の企業のお役に立ち、ひいては近畿圏、そして日本社会のお役に立つ、それが、「弁護士をインフラに」を合言葉に掲げる当事務所の使命であることを胸に刻み、日々精進していく所存です。
森島商事様、この度は貴重な機会を頂き、誠にありがとうございました。